試合後に自分たちのプレーについて話す選手たち=2025年3月2日午後3時10分、掛川西高、斉藤智子撮影

 全員が必ず試合に出る。再出場も可能――。公式戦とは違うそんなルールで、6高校の野球部による春のリーグ戦「リーガ静岡」が2日に掛川市内であった。都道府県や地域ごとのリーグ戦を、将来に向けた選手や指導者の学びの場にしようと、全国に広がる取り組み「リーガ・アグレシーバ」の一つだ。

 リーガ静岡は2022年秋に掛川西、掛川東、沼津商の3校で始めた。昨夏に桐陽、静岡市立、浜名が加わり計6校になった。

 今春のリーガは2会場。それぞれ3校による7回制の3試合があった。「失敗できるので、チャレンジ精神でできた」と桐陽の亀田遼主将(新3年)。トーナメントではないリーグ戦は、ミスを取り返すことができるのが大きな特徴だ。掛川西の鈴木脩平主将(同)も「ミスをおそれずやることを学べている」という。

 試合後には、プレーを振り返り、よかったプレーをほめ合う「アフターマッチファンクション」と呼ばれる時間がある。相手を尊重し、自身やチームの成長につなげるねらいだ。この日は全ての試合を終えてから、3校の同じポジションの選手やマネジャー同士が、動きの実演も交えて語り合った。

 試合にとどまらない情報交換もあった。「相手は自分たちより体が大きかったりパワーがあったりして、トレーニングや食事の方法も聞けた。チームに持ち帰れる」と静岡市立の長島湊真主将(同)。昨夏から参加し、「秋の大会で、自分たちが相手をたたえることができるようになっていてうれしかった」と話す。

 静岡市立はこの日、選手だけで打順も戦略も決めた。勝ち越しの好機を生かせなかった場面があったが、ピンチで投手交代をせず切り抜けた選択などが「新鮮だった」と安井信太郎監督。選手についての発見もあったという。

 勝負にこだわるとともに、野球の楽しさを感じることも大切にしている。球数制限、低反発や木製のバットは高野連に先駆けて導入してきた。リーガ静岡代表の掛川西の大石卓哉監督は「大人も学ばないといけない。リーガは学ぶ意識を持ちやすくなる場だと思う」と話した。

共有
Exit mobile version