証券市場や金融当局の関係者でインサイダー取引の疑いが相次ぐ、異例の事態になっている。職務上知り得た未公開情報を元に株を取引するなどして、利益を得ていた可能性がある。多くの職場では法令順守の研修を義務づけるが、それでも防げておらず対策に限界もみえる。
東京証券取引所では、「上場部開示業務室」に所属する20代の男性社員がインサイダー取引に関わった疑いがもたれている。この部署は、株式公開買い付け(TOB)など投資判断に影響を及ぼす公開前の情報も取り扱っている。東証を抱える日本取引所グループ(JPX)は年1回、オンラインによる法令順守の研修を社員に義務づけ、誓約書も出させていた。
JPXは疑惑発覚後の11月、再発防止に向けて内容を見直したうえでオンライン研修を実施。12月にはインサイダー取引規制に特化した対面での研修を行う予定だ。
JPXの山道(やまじ)裕己…