人手不足のなかで優秀な若者を取り込もうと、初任給など若年層の賃上げが加速している。一方で中高年層の賃上げは進んでおらず、世代間の格差が顕在化している。

 「1年目の平均年収500万円」「20代で年収1000万以上」

 来春に卒業予定の大学生らの就職活動が解禁された1日、千葉市の幕張メッセで開かれた合同会社説明会では、こんな貼り紙が並んだ。

業界を説明するボードの前に立つ就活生たち=2025年3月1日午後0時25分、千葉市美浜区の幕張メッセ、西岡臣撮影

 住友生命保険のブースでは、働き方などに関する採用担当者の説明に学生が聴き入っていた。同社は2026年4月に入社する大学新卒の初任給を、3万円引き上げて月29万円にする。約20時間相当分の固定残業代を含めると33万5千円だ。担当者は「初任給が高いとニュースで知って興味を持ってくれる学生もいる。しっかりと訴求していきたい」と話す。

 説明会に参加した私立大3年の女性(21)は「志望する会社が同じような労働環境だった場合、最終的に給与面が会社を選ぶ後押しになる」と言う。就職情報会社マイナビが25年卒を対象にした調査では、企業選択のポイントとして、「給料が良い」が「安定している」「やりたい仕事ができる」に次いで3番目に高く、割合は3年連続増の23.6%になった。

相次ぐ30万円台、多業種で

 金融業界では、初任給の引き…

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