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闇バイト事件などへの防犯対策のポイント
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 「闇バイト」が関わる事件が各地で相次いでいる。自宅で襲われたり、特殊詐欺で多額の現金を詐取されたりするケースもある。被害防止や闇バイトに応募して犯罪に加担しないために、警察だけでなく、大学生らも注意喚起や啓発に力を注いでいる。

 愛知県警は11月12日、金山駅(名古屋市中区)で高齢者を中心に不審な訪問者への注意を呼びかけるチラシを配布した。

 チラシを受け取った東海市の60代女性は20代の息子と暮らす。「ピンポンが鳴っても知らない人なら出ない。息子にも(闇バイトの)誘いには乗らないでと話している」という。

 県警によると、「不審な訪問があった」などの110番通報は11月~12月18日の期間で481件あり、多い日で1日50件ほどの通報があったという。

 主な内容は「『屋根の点検に来ました』と知らない業者が来た」「不審な訪問販売員が来訪し、家族構成や在宅時間を聞かれた」など。通報を受けて警察官が駆けつけると、正当な訪問営業だったケースもあり、これらの通報が事件につながったケースはなかった。

 ただ、首都圏の強盗事件では事前にリフォーム業者が被害者宅を訪問していたケースもあり、営業を装った強盗の下見が紛れ込んでいる可能性もあるという。

 県警の捜査幹部は、同様の悪質な業者が収集した個人情報が事件を主導する「匿名・流動型犯罪グループ」に流出している可能性を指摘。営業名目での個人情報の抜き取りに注意を呼びかける。

教員のたまごが高校生に「防止」授業

 来春から教員になる中京大学の4年生が10月、教職課程の一環として、愛知総合工科高校(名古屋市千種区)で生徒向けの「SNS非行・被害防止教室」を実施した。

 大学生は事前に闇バイトの実態について県警から学び、国際学部4年の杉浦瑛美さんと山口真緒さんは「高額な報酬」「連絡方法としてダイレクトメッセージを使う」など、クイズ形式で募集の見分け方も教えた。

 受講した同校3年の高宮城友貴さんは「『叩き』や『逃げ』など闇バイトをいろいろ知ることができた。お金に目をくらますことなく、(危ない情報を)無視する力を付けたい」と話した。

県警、労働局とタッグも

 三重県警は、犯罪に加担させないための中高生対象の非行防止教室を開催。SNS上で不適切な書き込みを警告するサイバーパトロールといった対策に取り組む。今後は、SNS上に広告を出すなどして若者に届きやすい注意喚起をするという。

 岐阜県警も対策を強化。11月に岐阜労働局と「犯罪実行者を募集する手口による強盗・特殊詐欺等対策に関する相互協力協定」を締結した。連携して、違法な求人募集の情報があれば事業者に確認したり、中高生に闇バイトに加担しないように呼びかけたりするという。

 収入を得るために安易に闇バイトに応募せず、ハローワークの活用を促す狙いもあり、協定に基づき啓発動画も制作し、県警のユーチューブで配信している。

「闇バイト」の募集と思われるSNS投稿などの特徴

・「ホワイト案件」「誰でもできる」など、違法でなく、簡単にできることを強調する

・「高額バイト」「日給5万~」などと高額の報酬であることを強調する

・「即金」「お金配ります」と、すぐに報酬が支払われることを示す

・ダイレクトメッセージから連絡を取り、「シグナル」「テレグラム」といった匿名性の高いアプリに誘導する

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