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1931年の古河駅(古河停車場)。最後の古河藩主土井利与の子利孝氏が撮影した=古河歴史博物館蔵
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 「古河に茨城県内唯一の新幹線駅ができていたかも」。県内最古の鉄道駅として誕生したJR古河駅(茨城県古河市)が今月で開業から140周年を迎えるのに合わせ、12日から古河歴史博物館で企画展が開かれる。往時をしのばせる展示物のほか、同駅を発着駅に構想された「まぼろしの鉄道」を紹介。来場者の想像をかき立てる。

 古河駅は1885(明治18)年7月16日、日本鉄道(旧国鉄、現JR各社)が開通した第2区線(現東北線)の中間駅として同時に開業した。現在の駅は3代目で、1984年3月に供用を始めた。

 足尾銅山鉱毒事件で天皇に直訴を試みた田中正造が活動拠点を駅前に構えるなど、開業後は東京方面へつながる駅として広く利用された。古河を出て下妻や土浦などを経由して水戸に至る「常総鉄道」が明治期に計画されたのをはじめ、水海道と結ぶ大正期の「下総鉄道」など、少なくとも23路線が計画された。

 歴博の立石尚之学芸員は「民主導で計画されたが、鬼怒川越えの工事など多額の資金が課題だった。実現しなかった背景には折からの経済不況や関東大震災などの影響があったのでは」と話す。

 82年に開通した東北新幹線は市内を通過するが停車駅はなく、最寄り駅は同じ東北線の小山駅に設置された。東北線、水戸線、両毛線の3路線が乗り入れるなど交通の利便性が小山駅は評価された。

 企画展「古河駅140年」は9月28日まで。旧駅舎の「古河駅」の巨大看板やホームの行き先表示のほか、加工して駅舎に再利用されていた外国製レールなど貴重な部材が多数展示される。特急のヘッドマークや機関車のナンバープレートなど、市内在住の鉄道コレクターのコレクションも紹介される。入館料が必要。

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