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県民対象の意見交換会で冒頭のあいさつをする依田英樹・県高校改革統括監=2025年8月23日午後1時36分、さいたま市浦和区、杉原里美撮影

 埼玉県立の男女別学高校の共学化について、県教育委員会と中高生の保護者や県民との意見交換会が23日、さいたま市浦和区の県県民健康センターで開かれ、参加者からは賛否両論の意見が噴出した。

 午前に保護者の部、午後に県民の部があり、県教委の事務局を担当する依田英樹・高校改革統括監が「主体的に共学化を推進する」と決定した県教委の考え方を説明した。

 保護者の部には、別学高校に子どもが通う父母を中心に18人が参加した。

 共学化に反対する父母からは「女子の目がないので力をフルに発揮できる。人間力が育つ」「共学の中学校で性被害を受けた人もいる」「男女の特性に合わせた教育が必要」といった意見が出た。「男女共同参画社会と共学化の相関関係があるのか」などの疑問も呈され、根拠やデータを示すように求めた父親もいた。

 一方、共学化に賛成する父母からは「男子校の文化祭の在り方に違和感をもった」「全国的に知名度のある浦和高校に女子が行けないというガラスの天井をなくしてもらいたい」といった意見があり、「共学化しても結果的に男子校や女子校になることがある。共学化してもいいのでは」という提案もあった。

 「異性が苦手な人には別学が必要」という考え方から、「トップ校だけでなく、幅広い学力の層に別学校が必要」という声も複数あった。

 県民の部には、別学校の卒業生や県立高校の教員経験者など17人が参加した。

 別学校の卒業生からは「埼玉には名門校のピラミッド構造がある。女子が男子校に入学したら男子の足を引っ張る」「女性しかいない中で、女性のリーダーシップが育つ」などの反対意見が目立つ中、男子校を卒業した男性から「女子が入ってきても全く問題ない。県立高校は変化し続けなければいけない」という賛成意見もあった。

 依田統括監は「県教委は、共学化で男女共同参画を推進していくという考え方ではない」としたうえで、「男女で教育活動の差を設けることは考えていない。一人ひとりの希望と能力に応じた学校の選択肢を用意したい」とし、「少子化で学校を再編する際には、別学校の共学化も検討の対象になる」などと説明した。

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