公開質問状を受け取る小林伸行・真鶴町長(左)=2025年9月17日、真鶴町役場、清水敬久撮影

 神奈川県の真鶴町教育委員会は17日、小林伸行町長に、教育行政に対する真意をただす公開質問状を提出した。小林町長は教育行政に関与する言動を繰り返しており、町教委が町長の姿勢を公に問う異例の事態となった。

 公開質問状は、纐纈(こうけつ)仁志教育長を除く教育委員4人すべての連名で出された。教育長職務代理者の瀧本朝光委員ら2人がこの日、町長室を訪れ小林町長に手渡した。26日までに文書で回答するよう求めている。

 公開質問状では、小林町長が町内で配ったチラシの内容や町議会での答弁などを踏まえ、町長が考える中学校給食の実施方法や、導入を意図する「先端的な教育」の具体例、2030年開校を予定する小中一貫の義務教育学校への関わり方などを質問。さらに、教育委員会との関係性や政治主導への懸念点などについて、町長の考え方を尋ねている。

 提出後に報道各社の取材に応じた瀧本委員は「町長の一方的な発信で町民に教育行政への誤解が広がっている。真意を口頭ではなく文書で回答いただきたいと考えた。政治家による教育への介入は起きてほしくないと願っている」と話した。

 一方、小林町長は「なんで公開質問状を出すのか、まったくわからない。ふだんからコミュニケーションをとっていれば、こんな必要はない。回答はさっさと書かせてもらう」と語った。

 小林町長は23年11月の当選直後から、町教委が所管する民俗資料館の廃止や、図書館の移転を打ち出すなどしてきた。町立中川一政美術館も今年4月に休館し、予定していた改修工事を取りやめ、収蔵品を手放す交渉を自身で進めている。

 19年から町教委を中心に議論してきた義務教育学校についても計画見直しを迫っていた。纐纈教育長を11月の任期切れで再任しないことも公言している。

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