大正ロマンを代表する画家で詩人の竹久夢二(1884~1934)の油彩画「アマリリス」が5月15日から岡山市中区の夢二郷土美術館で、5日間限定で一般公開される。文豪たちが集ったことで知られる東京のホテルに寄贈された作品だが、長らく所在不明になっていた。「払えない宿代の代わりに置いていった絵」とも伝わる話の真偽はいかに。
着物姿で座る女性とアマリリスの鉢植えが描かれた「アマリリス」は、縦約60センチ、横約41センチ。憂いを含む瞳や手を大きく描く「夢二式美人」の特徴を備える。レオナルド・ダビンチの作品になぞらえて「夢二のモナリザ」と、夢二郷土美術館は呼ぶ。
1919年に展覧会に出された後、夢二が約3年間滞在した東京都文京区の菊富士ホテルに寄贈。44年に閉館した後、所在不明になっていたが、一昨年、同館が購入した。
文人集まる「菊富士ホテル」 当時の夢二を語る人々
菊富士ホテルは、大正から昭和にかけて名だたる文士や芸術家が暮らした。本郷菊坂の跡地の石碑には止宿者として坂口安吾や谷崎潤一郎とともに夢二の名もある。
夢二は18(大正7)年11…