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船の上で先祖の霊に祈りを捧げる人たち=2025年8月18日午前9時24分、北海道・知床半島の羅臼町沖、山本智之撮影

 北海道・知床半島の羅臼町沖で18日、北方領土の島々に眠る先祖を供養する「洋上慰霊」が行われた。元島民2世やその家族ら18人が、船上から祈りを捧げた。

 今年は7月から、根室市の根室港を拠点に、北海道と北方領土問題対策協会(北対協)、千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)が共催する形で洋上慰霊が行われている。しかし、船が発着する根室港は羅臼町から遠く、車で往復5時間近くかかる。

 このため、高齢化が進む羅臼町在住の元島民やその家族らが慰霊に参加しやすいようにと、町と千島連盟羅臼支部が独自の洋上慰霊を共催し、羅臼漁港から船を出した。

 この日の羅臼は青空が広がり、対岸の国後島が水平線上にくっきりと見えた。ただ、沖合は波が高く、北方領土との中間ライン付近には行くことができなかった。

 乗船した千島連盟副理事長の鈴木日出男さん(73)は、父母がともに国後島の出身。ロシアによるウクライナ侵攻の影響で日ロ関係が悪化し、北方墓参が実現しないことに歯がゆさをにじませる。

 鈴木さんは「ふるさとの島々での平和な暮らしが奪われてから、80年の歳月が流れてしまった。北方墓参が早期に再開するよう願っています」と話した。

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