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秦正樹さん

 「今回の会見では、主たる政策は何なのか、『日本全体』の問題を訴えているのになぜ“地域”政党なのか(なぜ国政政党ではないのか)など、不明な部分が非常に多くて消化不良でしたが、同時に、そもそも再生の道は“政党”なのだろうかという疑問を持ちました」

 1月15日配信の記事「昨夏から浮上した『石丸新党構想』 SNSで狙う拡散、政策は掲げず」に、政治心理学を専門とする大阪経済大学准教授の秦正樹さんは、こうコメントした。

 昨夏の東京都知事選で約166万票を獲得した石丸伸二氏が、自らを代表とする地域政党「再生の道」の立ち上げを発表した。記事では、石丸氏が今夏の都議選に最大55人の候補者を擁立する方針であることや、都議から自治体の首長などに転身するなど「地方に人材を出していくシステム」をつくると強調したことを伝えた。一方、石丸氏が党として実現したい政策を語らず、立候補希望者を「オーディション方式」で面接する様子をネットに公開することも紹介した。

 秦さんはコメントで、政党とは①共通の政治的主義・主張をもつ者によって組織され、②一定の政治的利益や政策の実現のために活動し、③政権獲得をめざす集団、だとする辞書(デジタル大辞泉)の定義を紹介。

 その定義からみると、共通した政治的な主義・主張はなく、何を実現するのか不明瞭な石丸新党はこうした条件にほぼあてはまらないとして、「選挙互助会としてのゆるいサークルと捉えた方がわかりやすい」との見方を示した。

 また、石丸氏が掲げたルール「当選後の活動期間は2期8年に制限する」についても疑問を投げかけた。「仮にこれを義務付けても、もし3期目を目指したくなれば、再生の道を離党すれば立候補できてしまうのでは?とふと考えてしまいます」

 その上で秦さんは、石丸氏がSNSやネットを中心とした広報戦略を描いているだろうとの推測とあわせて、こうコメントを締めくくった。「再生の道が『どのような共通した理念(政策)を持つ集団』となるかは、石丸氏が誰を公認するかに依存しますので、そちらの方に注目したいと思います」

 この記事や、秦さんのコメント全文はこちらから(http://t.asahi.com/woll)。

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