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 大津市の石山寺の境内にある国宝・多宝塔が雨漏りし、塔内に所蔵されていた国の重要文化財・大日如来坐像(ざぞう)が、市歴史博物館に「避難」していることがわかった。石山寺が9日に発表した。

 石山寺によると、寺の職員が6月28日朝、多宝塔の扉を開けたときに雨漏りしているのを発見。その日のうちに市が現場を確認し、滋賀県と文化庁に報告した。拝観も同日から停止した。

 石山寺の多宝塔は、建久5(1194)年に源頼朝の寄進で建てられたと伝わる。全国に多く現存しているが、石山寺のものが、記録が残っている中では最古だという。

 塔内には、大日如来坐像と、坐像の四方に立つ柱に絵が描かれた国の重要文化財・四天柱絵がある。どちらも鎌倉時代のもので、大日如来坐像は仏師快慶の作品。四天柱絵は54体の尊像が描かれているが、多くがはがれ落ちているという。

 雨漏りを受けて、その二つの文化財をシートでおおって保護した。大日如来坐像については、雨水を避けるため、7月30日に市歴史博物館に移した。

 県と市が7月に現場を確認したところ、多宝塔の頂上に設置された金属部分が破損している可能性があることが判明。それが雨漏りの原因とみられる。

 頂上部分については今後修理する。四天柱絵はもともと、2025年度から2年かけて修復する予定だった。この修復期間に合わせて、大日如来坐像の拝観停止も26年度までを見込んでいる。

 石山寺には現在、NHKで放送中の大河ドラマ「光る君へ」の大河ドラマ館などがあり、多くの人が訪れている。寺の担当者は「たくさんの方に入山して頂いているので、この機会にと思っていたが……」と声を落とす。

 大日如来坐像の「不在」に伴い、大日如来坐像の写真パネルを多宝塔内に設置。また、市歴史博物館で10月12日~11月24日、大日如来坐像が展示されるという。(仲程雄平)

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