記者の取材に応じる石破茂首相=2025年4月7日午後10時3分、首相公邸、内田光撮影

 石破茂首相は7日夜、米国の「相互関税」導入をめぐってトランプ米大統領と電話で協議し、日本への関税が日本企業に与える影響への強い懸念を伝え、関税措置の見直しを求めた。両首脳は担当閣僚を指名して協議を続けていくことで一致したという。一方、トランプ氏は協議後、日米間の貿易上の不均衡への不満を改めて表明した。

 電話協議は約25分間行われた。協議後、首相が記者団の取材に明らかにしたところでは、首相はトランプ氏に「米国の関税措置により、日本企業の投資余力が減退することを強く懸念している」と伝達。「一方的な関税ではなく、投資の拡大を含め、日米双方の利益になる幅広い協力のあり方を追求すべきだ」と呼びかけた。トランプ氏からは「国際経済において、米国が現在置かれている状況について、率直な認識が示された」(首相)という。電話協議ではまた、日米両政府がそれぞれ担当閣僚を指名し、協議を続けていくことを確認。人選を今後進めていくという。

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 日本政府内では、首相が早期に訪米し、首脳会談に臨む案も浮上している。ただ、首相は記者団に「最も適切な時期に訪米し、トランプ氏と直接会談することは当然考えている」と述べるにとどめ、閣僚間の協議を優先する考えを示した。首相はまた、8日午前に全ての閣僚を集めた対策本部を立ち上げる方針を表明。米国との今後の交渉方針や、影響を受けた国内企業への支援策などを協議する見通しだ。

トランプ氏、SNSで不満あらわ

 一方、トランプ氏は協議後、自らのSNSに「今朝、日本の首相と話した。彼は交渉のためのトップチームを派遣する!」と書き込んだ。そのうえで「彼らは貿易面で米国をひどく粗末に扱ってきた。彼らは我々の車を受け入れないが、我々は彼らの何百万台もの車を受け入れている。農業やその他の多くの産品においても同様だ」とつづり、日米間の貿易上の不均衡への不満をあらわにした。

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