多くの「○―1グランプリ」を生み出してきた朝日放送テレビ(ABCテレビ、大阪市福島区)が9月29日、「Q―1」を放送する。高校生が自分たちの関心のあるテーマを突き詰めて研究し、その成果をプレゼンテーションする研究発表ショーだ。「探究心」や「好奇心」を養う教育に、改めて注目が集まっているという。
Q―1は2022年から始まり、今年で3回目。次世代を担う高校生たちが、自らの興味や関心から「Question(問い)」を設定して「Quest(探究)」し、導き出した研究成果を9分間でプレゼンテーションする。研究者も驚くハイレベルな発表やテーマ設定から、「知の甲子園」と呼ばれている。
今年は全国から120チームがエントリーし、勝ち残った4チームが7月14日に日本科学未来館(東京都)で開かれた決勝大会に臨んだ。
京都府立桃山高は、近年、府南部で発生するゲリラ豪雨に注目。防災、減災につなげようと積乱雲の発生予報を研究した。広尾学園高(東京都)が挑戦したのは「フードコートの混雑改善」。誰もが座って食べられるよう、数学や数式を用いて緻密(ちみつ)な研究を重ねた。安田学園高(同)は、クロマルハナバチの幼虫の飼育方法を徹底的に調べた。
大学教授や専門家ら50人以上の審査員が、主体性▽着眼点▽論理性▽アウトリーチ力の四つのポイントに注目して審査を行った。
審査の結果、最優秀イノベーターに選ばれたのは群馬県立高崎高。物理部でプログラミングを学んでいるという4人は、「EnglishLens」というアプリを開発。「英語が嫌いな子どもたちを減らしたい」を合言葉に、生成AI(人工知能)技術を使った英語学習ツールで英語を楽しく学べるようにした。
使い方は簡単。アプリで何かの写真を撮ると、それを英語に翻訳してくれる。日本語訳もでき、読み上げることも可能だ。
発案者は、部長でチームリーダーの黒澤駿さん(3年)。小学生の時に英会話教室に通っていたが、テキストを読むだけの「やらされ感」が苦手で、英語が嫌いになったという。「覚えるだけの英語教育を変えたい」と思い、アプリを開発した。
ただ、違う単語に翻訳してしまうことも時々あり、商品化するにはまだ発展途上だという。黒澤さんは「大学でもこのアプリの研究を続けて、いつか多くの人に使ってほしい」と話した。
各学校で実践する「総合的な探究の時間」を、なぜテレビ局が後押しするのか。
仕掛け人はABCテレビの桑…