高エネルギー加速器研究機構（KEK、茨城県つくば市）と筑波技術大学（同市）が、「宇宙と物質の起源 『見えない世界』を理解する」というタイトルの点字本を作った。点字本にはめずらしい専門的な内容で、試読した視覚障害のある人からは「新しい知識を得るための重要な図書」などと喜ぶ声があがっていたという。
人文科学系の本の点訳は比較的簡単だが、自然科学系の本は、視覚障害者が触って読むために膨らませた図（触図）の作成が難しいことや、内容に精通した点訳者が少ないことなどから、これまであまり流通していなかった。出版されても、子ども向けなど平易な内容のものが多かった。
KEKでは数年前から点字本製作のアイデアがあがっており、約2年前、「自分たちの研究をより多くの人に知ってもらいたい」と思っていた斉藤直人・素粒子原子核研究所長を中心に、具体的に進められることになった。
研究者10人がそれぞれ原稿…
