朝日俳壇

うたをよむ 大西朋

 歌壇俳壇面のコラム「うたをよむ」。今回は俳人の大西朋さんが、東京の俳句文学館で展示されている軸や色紙に記された俳人たちの直筆などを紹介しながら、文字や声が私たちに伝えるものについて考えます。

 十一月一日から東京・新宿区百人町の俳句文学館で「俳人協会所蔵名品展 近現代俳句の歩みⅠ」が開催されている。展示の目玉の一つとして青畝(せいほ)、誓子(せいし)、虚子、素十(すじゅう)、秋櫻子(しゅうおうし)による五大家俳句寄書軸が掛けられ、次のような近現代の俳人の軸装や色紙、短冊も多数展示されている。

 庵則(あんそく)を自ら問ハず冬籠(ふゆごもり)

  河東碧梧桐(へきごとう)

 金剛の露ひとつぶや石の上

  川端茅舎(ぼうしゃ)

 雪はしづかにゆたかにはやし屍室(かばねしつ)

  石田波郷

 特に目を引くのが碧梧桐の軸…

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