東芝は8月1日、東京都港区の芝浦地区から神奈川県川崎市へ本社を移す。芝浦は、社名の由来ともなった象徴の地。創業まもないころから140年にわたり東芝を育み、成長も危機も、時には社内の権力闘争をも見守ってきた地に立つビルは、今年度中に取り壊しが始まり、再開発によって姿を変える。
1日に登記上の本店所在地を、JR川崎駅に隣り合う事務所に移す。8月中に社員の引っ越しを終える。
いま本社が入る芝浦のビルは、高さ165メートル、地上40階。高層階からは東京湾を一望できる。住所は港区芝浦1の1の1。最寄り駅は浜松町駅で、本社の真横を東京モノレールの軌道が走る。
シャンデリアや空中庭園も
東芝は、発明家の田中久重が150年前の1875年、東京・銀座で創業した。芝浦に拠点を置くようになったのは82年。後継者らが芝浦に土地を買って工場を建てたのが起源だ。工場では、海軍省に納めるモーターなどを生産していた。1923年の関東大震災で被害を受けたことをきっかけに、工場は神奈川など各地に分散した。
芝浦の本社ビル建設を決めたのは、経団連会長も務めた土光敏夫氏が会長だった74年。創業100周年を翌年に控えたタイミングだった。ビルは84年に完成し、各地に分かれていた本社機能を集約するとともに、この年、社名も「東京芝浦電気」から「東芝」に改めた。
シャンデリアつきの応接室や…