愛知県田原市の住宅で高齢夫妻の遺体が見つかった事件で、県警は29日、祖父(75)への殺人容疑で逮捕された高校2年の少年(16)について、祖母(72)への殺人容疑で再逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。少年は「祖父母が両親に指図したり、両親と口論したりしているのを見聞きするのが嫌だった」「祖父、祖母の順に刺した」という趣旨の供述をしているという。
捜査関係者によると、再逮捕容疑は9日未明、自宅で祖母を刃物で刺すなどして殺害したというもの。祖父母の遺体の全身に多数の刺し傷や切り傷があり、死因はいずれも出血性ショックだった。パジャマ姿で布団のそばに倒れていた。
少年は5人暮らしで、少年と祖父母が母屋で暮らし、少年の両親が離れで暮らしていた。少年は、県警の調べに、家事など両親の生活態度をめぐって祖父母が両親を叱責(しっせき)する様子を自宅で繰り返し見聞きしていたと説明。祖父母と両親が口論する声が自室まで聞こえることもあったといい、苦痛に感じていたという。
少年は9日未明に祖父母を殺害したとみられる。その後、日中は高校に登校。夕方に帰宅した後、母親に「祖父母が倒れている」と伝え、第一発見者を装っていた。母親が110番通報。その後の捜査で少年が事件に関与していた疑いが強まり、県警は10日早朝、少年を祖父への殺人容疑で緊急逮捕していた。