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学術会議の問題について講演をする隠岐さや香教授=2025年5月23日午後4時53分、神戸市灘区、宮坂奈津撮影
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 神戸大(神戸市灘区)で23日、「学術会議の問題と、大学での軍事研究のあり方を考える」と題した緊急講演会が開かれた。学生や教員、市民ら約70人が参加した。

 政府は2015年、兵器など防衛装備品の開発につながりそうな研究に政府が資金を出す「安全保障技術研究推進制度」を開始した。神戸大は17年の学長通知で「大学から生まれる研究成果等は、軍事目的ではなく平和利用されるべき」として制度への応募自粛の方針を示してきた。だが先月30日、同制度への申請を解禁する学長通知が出された。

 学長通知では、申請を解禁する理由について、「科学技術そのものを潜在的な転用可能性に応じて事前に評価し、規制することは容易とは言えない」といった見解を日本学術会議がこの数年の国会答弁などで示したことを踏まえた、としている。

 この状況を問題視した神戸大学平和フォーラムや同大教職員組合の有志らが、学術会議の問題と大学での軍事研究について自発的に学ぶ必要があると呼びかけ、この日の緊急講演会が開催された。

 講演ではアカデミーの歴史に詳しい東大の隠岐さや香教授が、学術会議の歴史や20年の任命拒否問題、その背景などを説明。現在の日本学術会議について「自由な国のアカデミーとしては非常におかしな姿だ」と指摘した。

 呼びかけ人の1人である神戸大国際人間科学部の井口克郎准教授は「神戸大の平和のための研究活動という行動規範を投げ出した突然の決定。大学側に経緯の説明を求めたい」と話した。

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