島根県奥出雲町の特産品・仁多米を使った「奥出雲縁結びクッキー缶」(缶入りクッキー)が完成した。缶には地元の横田高校卒業生が描いた、出雲神話をイメージしたイラストをデザイン。奥出雲の新たなおみやげ品として注目されそうだ。
クッキー缶は、飲食店情報サイト運営会社「ぐるなび」(東京)の山脇聡一郎さん(37)が企画した。山脇さんは総務省の地域活性化起業人制度で、2022年10月から同町に派遣されている。
山脇さんは、ぐるなびで百貨店を担当していた時、クッキー缶が女性に好評で、味はもちろん、缶のデザインで商品の人気が左右されることを発見。いつかクッキー缶を作りたいと、企画をあたためてきた。
原材料は仁多米の米粉。製造を委託された大阪の洋菓子店が、米の甘みや香ばしさを引き立てるために北海道産の無塩バターを使用し、低温でじっくりと風味豊かに焼き上げた。ほろほろとした口溶けで、スペインの伝統菓子「ポルボロン」風のクッキーに仕上がった。フランス・ゲランド産のマイルドな塩味がアクセントになっているという。
缶のデザインは、今春から京都の芸術系大学に通っている山田奈那子さんが描いたイラストだ。魅力的な絵を描いているとインスタグラムで知った山脇さんが、当時横田高校3年で美術部員だった山田さんに制作を依頼。山田さんは町ゆかりの出雲神話にちなみ、ヤマタノオロチを退治した素戔嗚(すさのおの)尊(みこと)が稲田姫(奇稲田(くしなだ)姫(ひめ))にプロポーズする瞬間を約3カ月かけてデザインした。
クッキー缶は同町内の亀嵩(かめだけ)温泉玉峰山荘やJR松江駅の中浦本舗シャミネ松江店などで販売している。クッキー12個入りで税込み1495円。1500円を払うと、5円のおつりが返ってくる。その5円(ご縁)を持って稲田姫をまつる同町の稲田神社に参拝してほしいという願いを込めたという。
山脇さんは「仁多米の米粉を使った、口溶けのいいクッキーや缶のデザインを楽しんで、奥出雲と良いご縁を結んでほしい」と話している。(大村治郎)