右上の方がうっすら見えるだけで、目の前に人がいるのかどうかもわからない。
先天性緑内障の小林直美さん(50)は、視野がかなり限定されている。
「白杖(はくじょう)は全盲の人が使うもの」と思っていたが、10年ほど前から使うようになった。
段差のある場所を足でトントンして確認する必要がないし、道路の線と段差の違いもわかる。
そして、困っている時に、道行く人が声をかけてくれるようになったことがうれしかった。
使い始めたきっかけの一つが、福山雅治さんの存在。
「大阪で開催される『ましゃ(福山さんの愛称)』のライブに、東京から1人で参加する」
そんなミッションを自らに課したのだ。
友人と一緒に行ったことは何度かあるけど、1人で行ってみたい。
そのためには白杖に慣れて、使いこなせるようにならなければ。
できない理由を考えたらキリがないから、使い始めて半年後の2014年5月に決行することに。
ライブのチケットを取り、1人で京セラドーム大阪へ向かった。
何度もピンチに陥って
自分で新幹線やホテルの予約を取り、移動のシミュレーションをしてから臨んだ。
新幹線は指定席を予約したが…