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環境省が入る中央合同庁舎第5号館

 東京電力福島第一原発事故後の除染作業で出た土(除染土)や堆積(たいせき)物を不法に投棄したとして、環境省が作業員と、雇用していた下請け会社を放射性物質汚染対処特措法違反容疑で福島県警に刑事告発した。告発は6月30日付。環境省への取材でわかった。

 環境省によると、不法投棄があったとされる現場は、福島第一原発が立地する福島県大熊町の一部地区。2021年度に行われていた除染作業ではぎ取った表土や落ち葉を、作業員が不法に川や水路に捨てた疑いがあるという。

 作業は大手ゼネコンを代表とする共同企業体(JV)が受注し、福島県内の会社が下請けに入っていた。

 福島県内の除染で出た土や堆積物は全て、国の中間貯蔵施設に搬入することが同法などで義務づけられている。今年3月に通報を受けた環境省は、ゼネコンや作業員を調査していた。現場で作業をした複数の作業員が、朝日新聞の取材に投棄したことを認めている。下請け会社の社長は「何の証拠もなく、事実ではない」と話している。

 現場は除染後の22年6月に避難指示が解除され、一部の住民が帰還している。海から約2キロ上流の川沿いで、不法投棄された土などは流れていったとみられる。環境省が今年、周辺の放射線量を計測したところ、異常な値は確認されなかったという。

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