政府が20日に正式決定した2026年度からの5年間の復興の基本方針では、全体事業費の8割超となる1・6兆円が福島県分とされた。避難指示の解除が遅かった地域の街づくりなどに多額の投資が見込まれるほか、「世界水準」の研究拠点を目指して30年度までに本格稼働を予定する福島国際研究教育機構(エフレイ、浪江町)の取り組みも焦点となる。
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この日、全閣僚らで構成する復興推進会議で、26~30年度の「第3期復興・創生期間」の基本方針が決定された。石破茂首相は「引き続き国が前面に立って、避難者の帰還などを一層進める」と述べ、東京電力福島第一原発の廃炉や県内の除染作業で出た土(除染土)の県外最終処分について「道筋をつける」と強調した。
基本方針は、福島県の現状について「避難指示解除の時期によって、復興のスピードや進捗(しんちょく)が大きく異なる」と位置づけ、避難指示が解除されたばかりの地域や、今後解除が見込まれるエリアでの事業展開を重視する。
避難指示が23年11月までに解除された6町村の「特定復興再生拠点」(復興拠点)については、買い物や医療、教育など生活に必要な環境整備をハード・ソフト両面から進めるとした。
また、帰還を希望する住民の自宅などの除染が進む5市町の「特定帰還居住区域」については、インフラ整備などが進んだ地域から段階的に避難指示を解除することも検討するとした。
ほかに、安全確保を前提とした帰還困難区域での活動自由化の検討▽福島第一原発や中間貯蔵施設を活用した交流・関係人口の拡大▽エフレイの研究開発の推進や施設整備の可能な限りの前倒し▽安全性を担保された自家消費食品の摂取制限の見直し、なども盛り込まれた。
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