東京電力福島第一原発事故直後に甲状腺を守るための安定ヨウ素剤の服用の有無が、その後の健康には影響していないことがわかったと、京都大学などの研究チームが16日、発表した。調査対象となった福島県三春町の子どもたちの放射線被曝(ひばく)量が最小限にとどまったことなどが理由として考えられるという。

放射線被曝(ひばく)から甲状腺を守るために服用する安定ヨウ素剤=西川佳孝さん提供

 調査は、2011年3月の事故当時に三春町に住んでいた0~13歳までの1974人(内訳は安定ヨウ素剤内服者1095人、非内服者879人)が対象で、安定ヨウ素剤の服用や生活の状況、甲状腺超音波検診の結果などを23年3月までの10年間にわたってみた。また、加えて事故の4日後から12年3月末までに生まれた86人の子どもと母親についても調べた。

 その結果、調査した1974人について甲状腺の大きさやがんなどを疑われる所見のあった人数に、服用の有無で差はなかった。震災時、妊婦だった人の子ども86人についてもがんを疑う所見はなかった。

 理由について、研究チームは…

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