質疑応答する学生ら=2024年12月16日午後2時2分、仙台市青葉区の東北大学片平キャンパス、岸めぐみ撮影

 【宮城】福島原発事故の被災地の復興まちづくりを研究する東北大大学院の学生が16日、東北大片平キャンパス(仙台市青葉区)で研究成果を発表した。参加した福島県南相馬市の門馬和夫市長らに、子育て支援や高齢者のケア、新規ビジネスの開拓などについて提言した。

 東北大学公共政策大学院は、2011年の東日本大震災以降、被災地や復興に関して研究し、政策提言を続ける。今年のテーマの一つが、同市小高区をいかに復興し、まちづくりにつなげるのかに関する研究だ。

 学生は4月以降、地元住民や自治体関係者から地域の課題を聞き取り、解決策を模索。夏の中間報告会を経て、この日の最終報告会に臨んだ。

 学生は「選ばれる小高づくり」を目標に設定。女性が子育てと仕事を両立できるようデジタルスキルの習得・就労を支援したり、家にこもりがちな高齢者が地元の馬と触れ合って健康寿命を延ばす「ホースセラピー」を広げたりする政策を提案した。

 市内では企業進出が相次いでいる宇宙関連産業の分野で、ビジネスを新規開拓する必要性も指摘。学生や教員ら約60人による質疑も見守っていた門馬市長は「発表内容の完成度の高さに驚いた。こういったやり取り一つ一つが復興に大切。住民にとって幸せなことだと思う」とたたえた。

 この日、報告した修士1年の韓在濠(ハンジェホ)さん(23)は「現地で生じている課題と直接向き合うことを心がけた」。天羽(あもう)恒太朗さん(22)は「今よりも1ミリでも良い小高になってほしいと思い、政策を考えた」と話した。

 提言は1月中旬に改めて報告書にまとめ、2月に小高区で関係者に向けて現地報告会を行う。

 学生の研究を担当した御手洗潤教授は「南相馬特有の課題を見つけ、南相馬の資源を活用して解決策を見つけてほしいと伝えてきた。将来は福島の復興、日本の未来を担う人材になってくれると信じている」と話した。

共有
Exit mobile version