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福島県立医科大の理事長選のあり方の提言をする挾間(はざま)章博・副理事長(右)=2024年9月11日午後2時32分、福島市の福島県立医科大、岡本進撮影

 福島県立医科大学の昨年の理事長選考をめぐり、学内から選考過程に疑問の声が出ていた問題で、大学の理事長選考あり方検討会議が11日、竹之下誠一理事長兼学長(73)=3期目=に対し、公正性が確保された制度の構築を求める提言書を提出したと明らかにした。

 検討会議の議長を務めた挾間(はざま)章博・副理事長と大学事務局が学内で記者会見した。ただ、今回の理事長選考については「現行の選考規定に基づき公正に進められた」と結論づけた。

 理事長の学内選考会議があったのは昨年1月。3期目(1期3年)をめざす竹之下氏と、紺野慎一・副理事(当時)がともに学内推薦され、同大学が2006年に法人化されて初の複数選考となった。選考規定では、学内の有資格者による意向投票を経て、同大学の経営審議会と教育研究審議会の各3人が委員を務める選考委員で選ばれる。理事長は学長も兼ねる。

 教職員らによる意向投票では、紺野氏が総投票数766票のうち492票を得て、竹之下氏に倍近い差をつけた。意向投票に拘束力はないが、その後の選考会議で竹之下氏が選ばれた。選考理由は当初、一切明らかにされなかった。

 選考委員は、両審議会の推薦を受けた人物を理事長が任命する。選考規定で委員名は公表されないことになっているため、紺野氏にも伝えられなかったという。

 このため、選考過程の公正性や透明性への疑問の声が学内に広がり、選考会議の議長だった挾間氏が昨春に選考の見直しを表明した。福島大学の三浦浩喜学長や弁護士ら外部4人を含む7人で理事長選考あり方検討会議を昨年11月に発足させ、今年6月まで3回の会議を開いた。

 選考委員は学外委員も就ける規定になっているが、この日会見した挾間氏は、今回の理事長選考会議で学外委員は1人だったと明らかにした。

 提言では「より透明性及び公正性が確立された制度を構築するよう」にと求めた。偏った意見にならないようにするため、具体的には「選考会議の学内委員と学外委員の構成比は半々程度が望ましい」とすることや「透明性確保のため委員名は公表すべき」「理事長を決定した理由について丁寧に説明する必要がある」などの見直し策を挙げた。

 今回の提言内容を受けて選考規定を見直すかは、理事長選考の選考会議などで判断されるという。挾間氏は会見で「様々な混乱があった。大学としての望ましい姿を提言したので、ぜひ実現させたい」としている。(岡本進)

福島県立医科大の理事長選をめぐる経緯

2013年 東日本大震災を受け、2期(1期3年)までの理事長任期を期限限定で3期まで延長可能の特例を役員会で決める

 17年 新理事長に竹之下誠一・理事長特別補佐が就任

 20年 竹之下氏が再任

 23年4月 紺野慎一・副理事も学内推薦され、法人化されて初の複数選考に。選考会議で竹之下氏が再選されて3期目に。学内から選考過程に疑問が上がる

 同11月 理事長選考のあり方検討会議が発足

 24年8月 竹之下氏に検討会議報告書が手渡される

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