大阪大学の石黒暢(のぶ)教授

 福祉国家として知られるデンマークは、ロボットやICT(情報通信技術)など、新しい技術を福祉に導入することにも積極的で、ウェルフェア(福祉)とテクノロジー(技術)を組み合わせた「ウェルフェア・テクノロジー」の活用を、2000年代から国の政策として打ち出してきました。どんな技術に力を入れているのか。日本とは何が違うのか。30年以上にわたってデンマークの福祉政策を研究する大阪大学の石黒暢(のぶ)教授に聞きました。

 Q ウェルフェア・テクノロジーの推進をうたうデンマークは、ケア分野への新しい技術の導入に積極的なイメージです。

 A 日本でも、意識調査をみると、家族にやってもらうより介護ロボットの方がいいという意識が出てきているようですが、デンマークはこの5年10年ほどで、高齢者側も、新しいテクノロジーを積極的に受けいれる意識が強くなってきているように感じます。

 Q デンマークの高齢化率は20%ほど。30%近い日本と比べれば高くはないですね。

 A デンマークは経済状況も悪くないのですが、高齢者のケアを担う各自治体が使える予算は限られていて、高齢化がさらに進むことも見えています。限られた予算でやっていくには、テクノロジーを活用していかなければ先はないという点で、合意はとれてきているのではないかという印象はあります。

 Q 予算が限られているからテクノロジーを使うのだという説明では、国民の納得は得られにくいのではないですか。

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 A テクノロジーの導入には…

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