参院選で「問われるもの」について、有識者らに聞きます。今回は、こども食堂の「名付け親」と言われている近藤博子さんです。
本職は歯科衛生士ですが、歯と健康と食をつなげる仕事がしたいと思い、2008年に東京都大田区で八百屋「だんだん」を始めました。買い物にきた地元小学校の副校長から、親が病気で食事が作れず、給食以外の食事はバナナ1本という1年生がいると聞いたのをきっかけに、12年から「こども食堂」を始めました。
全国に広がったこども食堂、抱き始めた違和感
こども食堂の取り組みは瞬く間に全国に広まりました。子どものために何かしたいと思う大人がこれだけたくさんいたとは、日本も捨てたもんじゃないなと思いました。
でも、こども食堂にあまりに多くを求められることに、違和感を抱き始めました。地域のプラットフォーム、相談窓口、災害時の炊き出し拠点――。そもそも、「地域のおばちゃん」が始めたことであって、そんなに多くのことはできない。今春、こども食堂の大きな流れとは一線を引くことにしました。
365日24時間、子どもからお年寄りまで、電話やSNSであらゆる相談がきます。一度関われば、ソーシャルワーク的に関わらないといけない。ボランタリーな活動としては一線を越えていると思う時があります。
善意の域を超えた支援 できないことはできない
行政が人手不足のいま、私た…