創立100年を超える私立・札幌静修高校の真ん中で、大型のコインパーキングの営業が始まる。「学校敷地内に24時間、不特定多数の車両が出入りする」という状況に防犯上の懸念の声が出ているほか、敷地一部の売却計画も浮上。少子化が進むなか、歴史ある伝統校は「生き残り」をかけた岐路にある。
緑豊かな中島公園や豊平川河川敷まで歩いてすぐ。地下鉄南北線・幌平橋駅や市電「静修学園前」停留場もあり、市中心部へのアクセスも抜群――。
「住みやすい街」として人気のエリアにある札幌静修高校の敷地で工事が始まったのは、4月になってからのことだった。
少し前まで旧体育館があり、解体で更地になっていた場所。5月7日には、収容台数70~80台ほど、料金は24時間770円のコインパーキングがオープンする。運営・管理は、学校ではなく外部の事業者が担うという。
看板を見た地元住民らは「このあたりは駐車場が意外と少なく、混んでいる印象がある。需要はあると思う」「近隣のイベントの時に重宝されるかも」と話す。
4月に事件…懸念を募らせる教職員
ただ、この高校で勤務する教職員による労働組合は、教育環境の変化に懸念を募らせる。
校舎からコインパーキングまでは1~2メートルほど。授業への移動で、生徒はすぐ横を行き来する。
「防犯対策は講じているというが、生徒の安全やプライバシーは十分に守られるのか」「生徒と保護者が『安全だ』と判断できるに足る情報提供・説明をもっと丁寧にするべきだ」
連休に入る直前まで、理事会側にそう求めた。学校周辺では4月半ば、不審者に複数の高校生が制服などを切られる器物損壊事件が起きており、「営業は見切り発車だ」と批判する声もある。保護者から「大丈夫なんですか」と尋ねられた教員もいるという。
記事後半では、コインパーキング化や敷地売却計画が浮上するまでの背景を紹介します。
敷地の半分相当を売却「苦渋の決断」
学校関係者によると、静修高…