大学時代のワンショット。ふざける秋山和慶さんをおんぶする井上道義さん。右端は尾高忠明さん=井上さん提供

 日本の音楽界を朗らかに照らし続けた指揮者の秋山和慶さんが逝った。年末のジルベスターコンサートを率いたが、年明けに転倒。頸髄(けいずい)に重傷を負い、引退を表明してからわずか3日後の訃報(ふほう)だった。昨年末に指揮者の道を自ら引退した井上道義さんが、若き日の師である秋山さんへの思いを語った。

 昨年、僕は僕の意志で引退させていただいた。なのに、僕の先生である人が、こういう形で引退し、そしてあっという間に旅立ってしまうなんて。たむける言葉が、いまは本当に見つからないです。

 秋山さんは僕の六つ上。10代の頃から指揮法を教えていただいた。もちろん僕の師匠は斎藤秀雄先生なんだけど、先生は忙しいから、秋山さんや飯守泰次郎さんが、僕や尾高忠明さんの面倒をみてくれていた。

 斎藤先生の一番弟子は小澤征爾さんだけど、秋山さんこそが斎藤指揮法の最上の体現者だった。ある意味、斎藤先生以上だったかもしれない。

 斎藤指揮法ってのは、つまり…

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