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【動画】秋田市の人里近くで暮らすツキノワグマ=松村北斗撮影

 今年も人里へのクマの出没や、人身被害が相次ぐ。特に東北は、エサとなるブナの実が凶作で、冬にかけて出没がさらに増えるとみられている。秋田県で長年、クマを撮影している写真家に同行し、親子の姿をとらえた。

 9月5日午前6時45分、JR秋田駅から約20キロ離れた秋田市の河辺地区。車で案内してくれた写真家加藤明見さん(77)が「あそこにいる」と声を上げた。助手席からは、60メートルほど離れたクルミの木に黒い影が見える。ツキノワグマだ。よく見ると2頭いる。

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降りしきる雨の中、子グマ(左)と母グマとみられる2頭がクルミの木に登っていた=2025年9月5日午前8時40分、秋田市、松村北斗撮影

 上の枝に登って活発に動いているのが子グマ、下の枝にいてあまり動かないのが母グマだと、加藤さんが説明した。子グマは枝を折ったり、実に口をつけたり。枝からずり落ちることも。

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両手でつかんだクルミに口をつけるクマ=2025年9月5日午前7時1分、秋田市、松村北斗撮影

 秋田市郊外では8月中旬から、クマがクルミの実を盛んに食べていて、撮影歴が30年になる加藤さんは連日カメラに収めていた。子グマは今年生まれたとみられ、母グマとともに行動して、エサの見分け方や食べ方を学んでいるのだという。

 加藤さんの隣で望遠レンズを構えていると、時折母グマの視線を感じた。しかし、逃げることなく、2頭は1時間以上、同じクルミの木にとどまっていた。

 夕方に再び訪れた際も、2頭のクマがいた。朝見かけた所から100メートルも離れていない。同じ親子の可能性があった。

 母グマが20メートルほど離れた草むらから頭を上げ、まっすぐこちらを見た。レンズ越しに視線が合う。10秒ほどか。やがて身を翻すと、そばのクルミの木に登り、2頭は実を食べ続けた。

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草むらの向こうにいたクマがじっとこちらを見ていた=2025年9月5日午後4時51分、秋田市、松村北斗撮影

 ここから約200メートルの…

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