秋篠宮ご夫妻は23日、戦後80年にあたり広島市中区の平和記念公園を訪れ、原爆死没者慰霊碑に供花し、犠牲者を追悼した。
午後1時前に平和記念公園に到着したご夫妻は、34万人を超える原爆死没者の名簿が納められ、「過ちは繰返しませぬから」と刻まれた慰霊碑の前に進み、白いトルコギキョウの花束を供えて黙礼した。
公園内の広島平和記念資料館では、平和活動に携わる高校生ら若い世代とも懇談した。
広島と長崎でそれぞれ被爆した曽祖父母を持つ「被爆4世」で、核兵器廃絶を国際社会に訴える高校生平和大使をつとめる甲斐なつきさん(17)は昨年12月、ノルウェーのオスロで開かれた日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞授賞式に参列し、現地の高校生と交流したことを報告した。甲斐さんらは、広島の平和のシンボル、折り鶴を折ったり、核兵器について議論したりしたという。秋篠宮さまは「核のお話になったことも多いと思いますが、最初はどんな反応がありましたか」などと関心を寄せ、紀子さまも「折り鶴に込められた思いなども伝えられたのでしょうか」と質問した。
戦争体験者に聞きとりをし、当時の白黒写真をカラー化する取り組みを続けている庭田杏珠さん(23)には、秋篠宮さまが「カラー化することでより当時の日常が伝わってきますね」と伝え、紀子さまは「どういうところに気をつけていますか」などと尋ねていた。
ご夫妻は同日夕、宮内庁の吉田尚正皇嗣職大夫を通じて「核兵器が二度と使われることがなく、また、核のない世界、そして戦争や紛争がない世界を願う気持ちを新たにしました」などとする感想を公表した。この日は広島市内の広島原爆養護ホームを訪ね、入所する被爆者らと懇談する予定もあったが、施設で新型コロナの感染者が相次いでいるため取りやめとなった。ご夫妻は湯崎英彦知事を通じ、お見舞いの気持ちを伝えた。
広島は1泊2日の日程で、24日は広島市内で行われる全国高等学校総合体育大会の総合開会式に出席する。