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日本学術会議の総会=2023年7月、東京都港区

 気候変動、震災、感染症・ワクチン、食の安全……。科学に対する信頼の危機がたびたび叫ばれるが、本当なのか――。新型コロナウイルスの流行後に世界68カ国・地域で科学者に対する信頼度を調べたところ、世界全体ではやや高い信頼を寄せていると、早稲田大と東京大が参加する国際共同研究チームが英科学誌ネイチャー・ヒューマン・ビヘイビアに発表した。ただ日本は世界平均を下回り、科学者への信頼が相対的に低い国だった。

 調査は2022年11月~23年8月、世界68カ国・地域の18歳以上の7万1922人を対象に、科学や科学者をめぐる88項目についてオンラインで回答してもらった。68カ国・地域は世界の人口の約8割を占める。

 科学者に対する信頼については、能力や誠実さ、透明性など12項目の質問を実施、信頼度を1点(とても低い)~5点(とても高い)で評価した。「高くも低くもない」が3点とした。

 その結果、世界平均は3.62点とやや高い信頼を寄せていて、全体的に低い国はなかった。回答者の57%は、ほとんどの科学者は「正直である」とし、56%はほとんどの科学者が「人々のウェルビーイング(幸福度)に関心がある」と信じていた。

他人の意見に注意払っている?

 また52%が「科学者はより政策決定プロセスに関与すべきだ」と考え、「科学者は特定の政策に積極的に主張すべきでない」と考える人は23%で少数派だった。ただ、透明性について「科学者は他人の意見に注意を払っている」は42%にとどまり、83%が「科学者は科学について一般市民とコミュニケーションをとるべきだ」とした。

 一方、国によるばらつきも見られた。日本(対象者1千人)では、科学者に対する信頼度は3.37点で世界平均を下回り、68カ国・地域中59位と相対的に低かった。

 四つの研究テーマについて科…

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