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地下壕の探索を疑似体験する子どもたち=2024年7月25日、東京都八王子市初沢町、上田学撮影
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 太平洋戦争末期に使われた地下の軍需工場跡が東京都八王子市内に残されている。戦争遺跡として次の世代に伝えようと、3D映像で再現し、教材としての活用が始まっている。

 地元の浅川小学校で7月下旬、児童たちが工場跡を「探索」していた。ゴーグルのようなヘッドマウントディスプレーを装着し、コントローラーを動かす。精密で立体的な3D映像で、内部を疑似体験できる仕組みだ。手元の操作でライトの光を照らしたり、足音を響かせて歩いたりできる。

 5年の小田島明日美さん(11)は「戦時中によくこんなアリの巣みたいなのを掘ったな、と驚いた。真っ暗でずっといると体を壊しそう」と話した。

 実際の工場跡は「浅川地下壕(ごう)」と呼ばれる。高尾山の山あいなど3カ所あり、地下で碁盤の目のように広がっている。終戦前年の1944(昭和19)年秋から、旧陸軍が本土決戦に備えて武器や軍需品の地下倉庫にするため、多数の朝鮮人労働者や学徒らを動員。掘削機とダイナマイトを使って突貫工事で建設した。総延長は10キロにも及ぶが、建設途中で終戦を迎えた。

 戦後、付近では宅地開発が進…

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