京セラを創業し「経営の神様」と称された故稲盛和夫さんを知らない人はいないだろう。その稲盛さんの側近として30年近く仕えた人がいる。日本産業推進機構特別顧問の大田嘉仁さん(70)だ。稲盛さんの言葉を約60冊の「秘蔵ノート」に書き留めていた。大田さんに稲盛さんとの30年について聞いた。
――稲盛さんとの出会いを教えてください。
1978年、稲盛さんが社長を務める京都セラミック(現京セラ)に入社しました。半年後、社長と社員が親睦を深める「コンパ」の場で、初めて話をしました。当時私も若かったので、稲盛さんに対して、「京セラは高収益なのに、福利厚生がしっかりしていない。我々新入社員は、寮の4人部屋に入れられ、プライバシーもない」と訴えました。稲盛さんは「お前みたいな新入社員に何がわかる。俺は社員のために一生懸命やっているんだ」と応じました。
――京セラでの仕事はいかが…