@ニューヨーク
5月のある朝、私は裁判所前の列に並んでいた。トランプ前大統領の裁判取材で、法廷内をモニターで確認できる別室に入るためだ。審理開始まで3時間ほどあったが、私が現地に着いた午前6時には、一般の傍聴希望者を合わせすでに70人ほどが集まっていた。
1時間以上本を読んで時間をつぶしていた午前7時前、「事件」は起きた。
行列の頭上で「バババ」と大きな音が鳴った。驚いて振り向くと、私の隣でホットコーヒーを片手にドーナツをほおばっていた米テレビ局の女性記者の青色のジャケットに白い液体状のものがついた。
ハトのフンだった。
四方から同情の声が上がり、ウェットティッシュや紙ナプキンなどが次々に渡されていく。そんな時、ある男性記者が言った。
「ショックだろうけれど、幸…