空き家の解体現場=茨城県つくばみらい市

記者コラム 「多事奏論」 編集委員・中川透

 相続した実家をどうすべきか。空き家問題の取材で、悩みの声に多く接した。

 建物が古かったり家財があったりして、売却や賃貸をすぐに決断しにくい。年月を経るうちに家が傷み、有効活用がむずかしくなる。改修や解体は100万円単位の費用がかかり、更地にすると固定資産税が上がる。よい解決策も相談先もなく様子見を続ける。そんな人が多い。

 別荘や賃貸・売却用の住宅を除いた、使用目的のない空き家は2023年に385万戸。10年前と比べ67万戸増えた。世帯数が増えたこれまでと違い、これからは減る時代。国立社会保障・人口問題研究所が11月にまとめた将来推計によると、世帯数は20~25年に8県、25~30年に22道県、30~35年に40道府県で減る。空き家はさらに生まれやすくなる。

 取材で出会った70代の女性…

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