災害時のドローンを活用した取り組みが広がっている。被災状況を把握し、救援物資を輸送するためで、能登半島地震でも道路が寸断された中、インフラ施設の損壊状況の確認や医薬品の輸送などで役立った。一方、被災した自治体がどこまで運用できるか、課題も見えてきた。(米田怜央)
元日に震度7を記録した石川県輪島市。市は1月31日から、ドローンの業界団体である一般社団法人「日本UAS産業振興協議会(JUIDA)」の協力を得て、市街地の五つの橋と、山間部にある大型の橋を点検するため、ドローンを飛ばした。
ドローンを使うことで、点検が難しい橋の裏側などを、少ない人数で、かつ短時間で損傷がないか確認できる。実際、市街地の橋に亀裂が見つかり、その日のうちに通行止めにできた。
「精密な検査をする前にドローンで状況を確認することで、次の復旧段階に進むのが早くなった」と市土木課の延命公丈課長は話す。
孤立集落の支援にも活用された。全国8拠点で約50機を使った配送事業を担うネクストデリバリー(山梨県小菅村)は、輪島市の鵠巣(こうのす)地区の避難所に医薬品を届けた。
鵠巣地区は市中心部につながる国道が土砂崩れなどで寸断され、自衛隊員が徒歩で食料や飲み水などの物資を運んでいた。同社によると、徒歩でも片道1時間かかるため十分な量を運べず、住民に必要な薬が行き届いていなかったという。
だが、ドローンを使うと市街地から往復15分で配達できた。1月8~11日、5回に分けて約50人分の医薬品を届けたという。
「ドローンを使うことで早く輸送することができ、危ない道を人が歩くこともなくなる」と同社取締役の青木孝人さんは語る。
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