「いずも型護衛艦は、ヘリコプター運用機能、対潜水艦作戦機能、指揮中枢機能、人員や車両の輸送機能、医療機能などを兼ね備えた多機能な護衛艦。航空機の運用機能が加わっても、引き続き多機能な護衛艦として活用していく考えだ」

 2025年2月7日の記者会見。中谷元・防衛相は、いずも型護衛艦の2番艦「かが」が参加する訓練に言及した際、こう話した。

 「引き続き多機能な護衛艦」とことさら強調したのは、「『空母』や『空母化』という用語を避けるため」(防衛省幹部)だ。

 戦前の旧日本海軍は、零式艦上戦闘機(ゼロ戦)など数々の戦闘機を「航空母艦(空母)」に搭載して運用していた。戦後の日本は「空母」を持たなかったが、1954年の自衛隊発足以来、「空母保有の是非」はたびたび国会で論戦が交わされてきた。

空母化された海自護衛艦「かが」から発艦する米軍F35B戦闘機=2024年11月6日、米カリフォルニア州サンディエゴ沖、かが飛行甲板から土居貴輝撮影

 背景には、憲法9条の「戦力不保持」との整合性がある。9条のもとで保持が認められる防衛力とは、「自衛のための必要最小限度に限られる」とされてきたからだ。

 では、「必要最小限度」の限…

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