大創出版の西田大社長(左)とゲームデザイナーのNIZA氏=2025年3月10日、東京都豊島区

100円トレカ「蟲神器」(後編)

 100円ショップ・ダイソー発のトレーディングカードゲーム「蟲神器(むしじんぎ)」。1千万セットを売り上げる人気商品を企画したのは、ダイソーを展開する大創産業の子会社、大創出版だ。そして、蟲神器の誕生には、その大創出版の西田大社長(51)とNIZA(ニザ)の名で活動するゲームデザイナーの出会いがあった。

最初の提案は…

 「トレカを作れる人を探している。興味ない?」

 アナログゲームの祭典「ゲームマーケット」で、趣味として自作のトレーディングカードゲームを「細々と」販売していたNIZA氏。2019年ごろの秋、東京ビッグサイト(東京都江東区)の会場で、西田社長から突然のスカウトを受けた時は半信半疑だった。

  • 100円トレカ「蟲神器」開発の舞台裏、「前編」はこちら

 すでに有名なゲームデザイナーは、世に数多くいる。商品化の可能性は「高く見積もっても1%あるかないかだと思った」。それでも早く行動すれば熱意が伝わるのではないかと考え、会場の東京ビッグサイトから栃木県にある自宅に戻ると、その日の深夜には企画書を西田社長に送った。

 すると翌朝、早速連絡がきた。「今度会社に来てください」

 最初にNIZA氏が提案したのは、ダークファンタジーがテーマのトレカだった。多くの人を引きつけるテーマとしては王道で、ダイソーにもマッチすると考えたという。

 だが、西田社長はその案に難色を示した。「実在するものをテーマにしたほうが、すでにそのもの自体にファンがたくさんいるからよいのでは」

みつけた業界の空白地帯

 NIZA氏はリサーチを重ね…

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