戦争を言い訳にするつもりはない。正々堂々と戦い、勝ち、国旗を掲げたい――。

 ロシアの全面侵攻を受けるウクライナから、140人の選手がパリ五輪(26日開幕)に出場する。戦時下で練習を重ねてきた選手は「私たちは戦っていると、世界に示したい」という。

  • 「ウクライナの英雄」が語るスポーツと未来

 「五輪は私の夢でした。そんな舞台に立てることを、本当に楽しみにしています」

 5月上旬、首都キーウのトレーニング施設。練習を終えたエリザベータ・リトビネンコさん(20)は一礼をして、額の汗をぬぐった後、取材にそう答えた。

 柔道女子78キロ級に出場する、初めての五輪。世界ランキングは、日本の高山莉加選手に次ぐ10位。ウクライナ期待のホープだ。2022年10月にウズベキスタンで開かれた世界選手権では、東京五輪金メダリストの浜田尚里選手を破り、銅メダルに輝いた。

練習に励むエリザベータ・リトビネンコさん=2024年5月9日

 中部ドニプロペトロウスク州の町、ポクロウ出身。そばを流れるドニプロ川の向こうはロシアの占領地域で、日常的にロシア軍の攻撃を受けるニコポリから25キロしか離れていない。

 22年2月にロシアの全面侵…

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