年代別にみた女性の第3号被保険者の割合

 夫が稼ぎ手で、妻は扶養内で働く。こうした性別役割分担世帯を優遇してきた第3号被保険者制度。女性のキャリアに詳しい大妻女子大学の永瀬伸子教授(労働経済学)に問題点を聞いた。

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 残業や全国転勤、配置転換などの企業の命令に「無限定」に従う正社員の夫と、家事育児を担う被扶養配偶者の妻。こうした夫婦のあり方を推奨する日本型雇用慣行と第3号被保険者制度は、性別による役割分担を推進し、日本経済の停滞や少子化の一因となっています。セットで見直すべきです。

 1980年代、正社員は未婚女性と、妻を扶養する男性のものだった。一方、低賃金だが労働時間が比較的自由になり、企業側にとって社会保険を負担せずに済む「パート労働」は主婦のものでした。

 しかし2000年代以降、規制緩和で非正規雇用が増え、主婦のものであったパート労働が配偶者のいない男女や、本来ならキャリアの基盤を築くべき若者にも広がりました。

 また近年は、女性の労働力人口が増える一方で賃金構造は変わっておらず、女性の低賃金が全体の賃金を押し下げる要因となっています。労働力調査などを元に推計したところ、大卒男性の中年期の年収中央値が800万円程度なのに対し、大卒女性は170万円程度でした。英国や米国と比較しても日本の女性の賃金の低さは突出しています。

 こうした環境で、低賃金で子…

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