■ラピダス秘録:下
最先端の2ナノの半導体製造に挑む国策会社ラピダスが誕生し、北海道千歳市に急ピッチで工場建設が進む。先端半導体の開発競争からとっくに脱落していた日本が、なぜ復権を目指すのか。その舞台裏を探った。(全3回)
小池淳義は2022年春、もはや自分たちで新しい会社をつくるしかないと腹を決めていた。
東京エレクトロンの元トップ、東哲郎からIBMが開発した先端半導体の技術導入について相談を受けたのが20年11月。小池はその年の暮れには、ソニー技術者や東大教授らと、後に「マウントフジ」と名付けることになるチームを立ち上げ、検討を開始。東芝など国内メーカーが相次いでIBMの技術の導入に尻込みしたうえ、マウントフジチームに参集したメンバーの約半分が「20年遅れの我が国には無理」と脱落したが、残った仲間は手ごたえを感じていた。もっとも、その中で一番積極的だったのは当の小池なのだが。
挑戦、そして挫折「あの失敗をずっと考えてきた」
東が小池に白羽の矢を立てた…