今年4月、大阪教育大付属池田小から大阪府豊中市立桜塚小に異動した真田巧校長=2025年5月30日、豊中市内、松浦祥子撮影

 東京・立川市の小学校で5月に男2人が暴れるなど、学校の安全が脅かされる事案が後を絶ちません。児童8人が殺害された大阪教育大付属池田小学校の事件から8日で24年。事件時に同校の教員で、この春まで同校長を務めた真田巧さん(57)は学校の安全対策で「すぐにでも改善できることはきっとある」と話します。

――池田小事件に対してどのような思いがありますか。

 毎年、事件が起きた6月8日が近づくと、「もっと出来ることがあったんじゃないか」という自責の念が強まります。事件当時、同小で6年生のクラス担任でした。目の前の児童たちを外に避難させ保護者に引き渡すのが精いっぱい。襲われた1~2年生の児童の救助に関わることはできなかった。その後、同小で副校長・校長を務め、学校安全の発信に努めてきました。事件当日、できなかったことを伝えていく役割が自分にはあると思っています。

教員は犯人に会釈

――池田小事件の大きな反省点は何でしょうか。

 犯人を校内に入れてしまったことです。当時、「便利だから」という理由で学校の門は開かれた状態でした。しかし、同小の事件の1年半ほど前、京都市の市立日野小学校で2年生の男子児童が侵入者によって殺害される事件が起き、文科省からは不審者の侵入防止対策を求める通知が出ていました。通知を受け、門を閉めておくなどの対策を講じていれば防げたかもしれないという後悔があります。

 池田小の事件後、同校や近隣の学校では、登下校の時間帯以外の校門の施錠が徹底され、警備員の配置も進みました。私自身、門が閉まっているか確認し、来校者に積極的に声をかける癖が染みつきました。

 地域に開かれた学校であることと、「だれでも、いつでも、どこからでも」入れる学校は違います。校門を施錠していても、インターホンで名前や用件を告げたうえで、保護者や地域の人など学校関係者が気兼ねなく来校できる「開かれた学校」をめざすことはできます。事前に約束して、地域の方を授業のゲストティーチャーとして招くこともあります。池田小では保護者に来校時、IDカードを身につけてもらうことも徹底されています。学校に関係のある方はどんどん来てもらいたい。ただ、その際に設けたルールは守ってもらう、という姿勢が大切だと思います。

予算限られても出来ることある

――不審者の侵入を完全に防ぐことは難しい面もあるのではないでしょうか。

 フェンスを乗り越えるなどし…

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