東京都中学生吹奏楽コンクールは9日、府中市の府中の森芸術劇場で、B部門と東日本部門があった。審査の結果、8日の出場団体も含めて東日本部門から、立川七、松が谷、尾久八幡、深川二、福生二の5団体が10月に山形市で行われる東日本学校吹奏楽大会への進出を決めた。
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少ない人数でも呼吸を合わせ、曲の世界観を作り上げたのは足立区立伊興中。定員30人の東日本部門大会に6人で出場し、佐藤信人作曲「源氏物語―独奏サクソフォンとサクソフォンアンサンブル、打楽器のための―」を演奏。金賞を受けた。
曲の出だしで、ビブラフォンとグロッケンが幻想的な雰囲気を醸し出す中、サックスの神成ひなのさん(3年)が芯のある美しい音でソロを吹き上げた。次々と曲の雰囲気が変わる中、堂々と演奏を引っ張った。
元々、打楽器担当だった神成さん。先輩が吹く音にあこがれ、1年生の終わりごろにサックスにパート変更した。コツコツと練習を続けて技術を磨き、今年2月の全日本学生国際ソロコンクール本選(全国大会)で優良賞を受賞。顧問の棚村力也主任教諭(33)も「中学生でここまで吹けるのは本人の努力の結晶」と高く評価する。
かつてはマーチングの全国大会に出場していた強豪校だったが、少子化やコロナの影響で部員は減っている。「だからこそ一人一人が強い責任感を持って音に向き合い、曲を作り上げてきた」と棚村主任教諭は語る。
演奏を終え、明るい笑顔を浮かべた部員たち。神成さんは「客席も、舞台であびたライトも、残響も全部きれいだった。100点満点の演奏ができました」と話していた。