選挙戦の最終日の夜、石原洋三郎氏(左)の応援に駆けつけた立憲の野田佳彦代表=2025年7月19日午後7時55分、福島市、波多野陽撮影

 参院選の選挙戦最終日の夜、各党首が東京などで訴える中、立憲民主党の野田佳彦代表は福島県に向かった。立憲の新顔が、法相などを歴任し、裏金問題への関与も発覚した自民現職に挑んでいた。だが、結果は、自民が何とか逃げ切った。野党が9年ぶりに議席を奪還するかに思われた夜、何が起きていたのか。

 「なぜ会津でこんなに参政党が」

 20日午後10時過ぎ、立憲民主新顔の石原洋三郎氏(52)の事務所で、陣営幹部らから戸惑いの声がもれた。

 会津若松市で71%の票が開き、石原氏と自民現職の森雅子氏(60)、参政新顔の大山里幸子氏(51)の3人が1万2千票で並んでいた。

 同市は立憲県連代表の小熊慎司・衆院議員の地元。昨秋の衆院選では小熊氏が自民系候補に1万5千票差で圧勝していた。

 ここだけではない。立憲の玄葉光一郎・衆院議員が地盤としてきた須賀川市や田村市などでも振るわなかった。

 こうした「牙城(がじょう)」の市町村で健闘しつつ、自民が強い郡部での森氏のリードに食らいつき、市議として3回トップ当選するなど石原氏の知名度の高い地元・福島市で逆転する――。そんなシナリオを陣営は描いていた。

 実際、森氏は苦しんでいた。獲得した32万7951票(得票率38・22%)は福島選挙区が1人区になった2013年以降の当選者では最低だ。6年前の参院選で野党系候補は34・5万票を得たが、森氏に10万票以上の差を付けられて敗れた。今回、石原氏は6年前と同程度の票さえ得れば、森氏に勝っていた。投票率は今回の方が6ポイントも高い。

 陣営に予想外だったのは参政の大山氏が18万票超を得たことだった。参政は県内の比例区で10万7268票を得た。この得票自体も大躍進だが、それを上回る有権者が選挙区で、森氏でも、石原氏でもなく、大山氏を選んだ。

 「参政党に食われる」…

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