昨秋の兵庫県知事選をめぐり、SNSに虚偽の内容を投稿され名誉を傷つけられたとして、政治団体「NHKから国民を守る党」(現・NHK党)の立花孝志党首(57)が県議から刑事告訴された問題で、県警は4日、立花党首を名誉毀損(きそん)容疑で神戸地検に書類送検した。
捜査関係者らへの取材でわかった。地検は、刑事責任を問うかどうか慎重に判断する。
告訴した奥谷謙一県議(39)は、自宅兼事務所前で立花氏が行った街頭演説をめぐっても、威力業務妨害と脅迫容疑で被害届を出していた。県警は両容疑についても書類送検した。
奥谷県議は、斎藤元彦知事らが内部告発された問題を調べるための県議会調査特別委員会(百条委員会)で、委員長を務めていた。
一方の立花党首は知事選に立候補したが、自身の当選を目的とせず、SNSや街頭演説を通じて斎藤知事を擁護する「2馬力選挙」を展開した。
立花党首は、知事選が告示された昨年10月31日以降、斎藤知事らを内部告発した元西播磨県民局長の死亡をめぐり、奥谷県議が自殺の原因を隠蔽(いんぺい)した、マスコミに圧力をかけた、などといった内容をX(旧ツイッター)やユーチューブ動画に投稿。奥谷県議は告訴状で、こうしたうその投稿で社会的名誉が損なわれたと主張していた。
また立花党首は、選挙期間中の同11月3日には、奥谷県議の自宅兼事務所前で街頭演説し「出てこい奥谷」「あまり脅しても、自死されても困るのでこれくらいにしておきます」などと拡声機を使って発言。奥谷県議は家族を避難させるなどし、「日常とは違う生活をせざるを得なくなった」としている。
立花党首はこれまでに県警から2度の任意聴取を受けたことを会見などで明かしたうえで、Xの投稿で「真実相当性がある」として名誉毀損にはあたらないと反論していた。
今夏の参院選では兵庫選挙区(改選数3)からの立候補を表明している。