笠岡工高を統合再編の対象から外すことを求める意見書を、笠岡市議会の大月隆司議長(右)が中村正芳・岡山県教育長に手渡した=県庁

 岡山県教育委員会が県立笠岡工高(笠岡市)を統合再編の対象としたことに対し、笠岡市議会は6日、対象からの除外を求める意見書を中村正芳・県教育長に提出した。「子どもたちの進路選択を狭めてはいけない」とし、特色ある学科の設置など学校の魅力を高める取り組みを求めている。

 笠岡工高は1944年設立。意見書では、これまでに1万3千人超を土木や電気の技術者などとして県内や備後圏内の企業に送り出したと紹介。2022年度は就職希望者の32倍を超える2100件超の求人が寄せられ、卒業生の活躍は全国に及ぶとしている。

 その上で、「地域の事情を考慮し、笠岡市を含む井笠圏域の子たちの多様な進路選択を狭めることがないように」と統合再編対象からの除外を要望。「社会のニーズに対応した特色ある学科の設置を」と求めている。

 笠岡工高の同窓会が提出した請願を7月に市議会が採択。意見書としてまとめ、今月2日の本会議で可決した。6日に中村教育長と意見を交わした大月隆司議長は「卒業生は地元企業への定着率が高い。井笠地域に唯一の工業高校が統合再編されれば地域の過疎化が進む」と理解を求めた。

 県教委は取材に対し「思いは聞かせてもらった。(意見交換が)非公開だったためコメントは差し控える」とした。

 県教委は19年に策定した「県立高校教育体制整備実施計画」で、23年度以降1年生が100人を下回る状況が2年続けば統合再編の対象とする基準を設置。笠岡工高は真庭高(真庭市)とともに、定員120人に対し2年連続で下回った。(小沢邦男)

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