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南新保ゴマヂマチ遺跡の前方後方墳で出土した笠形木製品=金沢市大友1丁目、永井啓子撮影
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 金沢市の南新保ゴマヂマチ遺跡で笠形の「木の埴輪(はにわ)」が見つかり、市埋蔵文化財センターが25日に発表した。古墳時代前期(4世紀)の前方後方墳の周溝から出土したという。奈良など畿内を中心に古墳時代中~後期の古墳で多く見つかっているが、北陸では初めて。前方後方墳からの出土も国内初という。

 同センターによると、見つかったのは傘の形をした木製品。半球状で、大きいものは長径47・5センチ、短径44センチ。畿内周辺の出土品は裏面が円形にくりぬかれ、中央に貫通した穴があるが、今回見つかったものは裏面が平坦(へいたん)で、中央は貫通していないなど特徴が異なるという。

 ただ、近くで支柱となるような杭状の木製品も出土しており、畿内の古墳と同様に墳丘の周りに立て、葬送儀礼に使われたと考えられるという。

 南新保ゴマヂマチ遺跡は南新保土地区画整理事業に伴い、2021年度から発掘調査を開始。24年10月~今年7月の第3次調査で、古墳時代前期の前方後方墳2基(2号墳、3号墳)が並ぶ形で確認された。

 全長はそれぞれ約34メートル、約33メートルで、2号墳は北加賀で最大。どちらも墳丘は後世の農耕などで平地にされて残っていないが、笠形木製品は2号墳の周りに掘られた溝の中から5点、3号墳の溝から1点の計6点が見つかった。

 高橋浩二・富山大教授(考古学)は「畿内を中心に古墳祭祀(さいし)で用いられたとみられる笠形木製品が、離れた地域で、より古い時代の古墳で確認された意義は大きい。日本最古とみられ、笠形木製品の起源や系譜を考える上で重要な資料」と話す。

 同センターは27日午後1時半~2時半、金沢市大友1丁目の現地で一般向けの説明会を開き、出土品や発掘現場を公開する。

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