北海道立江差高等看護学院(江差町)の男子学生が2019年に自死した問題を巡る訴訟で、遺族と道が自殺の原因について争っている。道が設置した第三者調査委員会が教員らによるパワーハラスメントを認定したが、道が「調査は客観的ではない」と否定したからだ。行政運営上の参考意見を聞くための第三者委の調査結果の受け入れ方が問われている。
遺族が道を相手取り損害賠償請求を函館地裁に起こしたのは昨年9月。原告側が自死の原因をパワハラ行為だとする主な根拠にしたのが、第三者委の調査結果だ。
原告側代理人の植松直弁護士(北海道函館市)は「遺族には教員にヒアリングをする権限がないので道に第三者委の設置を要望した。その調査で明らかになった内容を道が認めないため提訴に至った」と説明する。
第三者委は「懇談会」
第三者委による調査は道の基準では「行政運営上の参考に資するため」に有識者から個々に意見を聞く「懇談会」という位置づけ。この問題では弁護士2人と教育心理学が専門の大学学長1人が委員に委嘱された。
全国の自治体で第三者調査委員会が設置されています。記事後半では、実態に詳しい日本弁護士連合会の自治体等連携センター幹事を務める東尚吾弁護士に話を聞きました。
第三者委は遺族や教員、元学…