米軍が公開した地対艦ミサイル「ネメシス」(右端)と地対空システム「マディス」(中央、左端)=2025年9月17日午後3時12分、陸上自衛隊石垣駐屯地、伊藤和行撮影

 日本各地で9月11日から始まった陸上自衛隊と米海兵隊との日米共同訓練「レゾリュート・ドラゴン」では、有事の際に米軍のミサイルを南西地域に即時展開する能力を示した。九州から台湾、フィリピンを経て延びる第1列島線内での米海兵隊と米陸軍の作戦を示唆する。ただ、自衛隊との役割分担や米海空軍の作戦など、明らかになっていない点も多い。

  • 日米共同訓練に新鋭ミサイル続々 台湾有事にらみ、米軍「西へ西へ」
  • 徐々に台湾に近づく米海兵隊と米陸軍の「切り札」 自衛隊との連携は

 米海兵隊は第1列島線の内部で中国軍の動きを偵察し、台湾などへの接近を阻止する「スタンドイン部隊」としての役割を担う。米陸軍は後方から海兵隊を支援することになりそうだ。

 沖縄の米海兵沿岸連隊(MLR)が7月から訓練を始めた地対艦ミサイル「ネメシス」と、今回初めて日本国内に展開した米陸軍の中距離ミサイル発射システム「タイフォン」が、第1列島線内での戦闘での切り札になる。

「攻撃後、48時間以内に移動する米MLR」 住民保護は?

 一方、米海兵隊は近年、沖縄県の石垣島や与那国島でも訓練を行うなど、南西諸島への展開に意欲を見せている。ただ、複数の米軍関係者によれば、MLRは敵からの反撃を避けるため、攻撃後48時間以内に別の場所に移動することを原則にしている。陸自元幹部は「(有事の際の)南西諸島の住民保護を考えた場合、住民がいる場所に米軍だけを展開させるわけにはいかない」と語る。

 今回の日米共同訓練では、米…

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